タイヤの溝（山）は水捌けが主な目的ですが、そのほかに「操舵性と直進性」という役割があることはあまり知られていません。それ以外にも「柔軟性と衝撃吸収性」も担っているのがタイヤの凹凸、すなわち「溝」なのです。一般的には溝の深さ（山の高さ）が４mm以下になるとタイヤ本来の性能が保てなくなるなると言われています。

ちなみに、溝の深さが1.6mm以下、またはタイヤにスリップサイン（スタッドレスはプラットフォームマーク）が出た状態で走行すると、違反点数２点及び罰金9,000円が課せられます。また、事故の際、このようなタイヤだった場合、過失割合が増える場合もあります。

タイヤに光沢を出したいと、ワックスを塗る方も少なくありません。事実、プロのタイヤメンテナンス現場でもワックスを使うことはあります。ただしその場合は極端にタイヤが乾燥してしまっている場合などに限られ、使用するワックスもタイヤメーカー推奨の水性ワックスです。より艶の出る油性タイプのものは量販店の広告やおススメ品などとして出回っていますが、これが最悪の選択です。

油性タイプのワックスは石油系溶剤を使用しているため、ゴムを溶かしたり亀裂を産んだり、劣化を早めてしまい、最悪のケースはバースト（走行中の破裂）を引き起こしかねません。しかも、それらの危険商品を積極的に薦めるお店がタイヤ専門店だったりすることも驚きです。

タイヤは新品といえども決して「真円」ではありません。ホイールの製造過程上、どうしても寸法や剛性のアンバランスが発生してしまうことも大きな要因です。また、シーズン対応で外したタイヤの保管方法によってもアンバンランス（変形）が発生します。

多くの場合、サマータイヤには純正を用い、スタッドレスはホイール付きのものを購入することでしょう。確かにそうすることで履き替えの手間もコストも大きく省けるメリットがあります。だからといってご自身で交換するのはお勧めできません。

数ヶ月寝かしたタイヤは残存する空気圧の影響などもあり、必ず変形します。つまり、季節の交換ごとにホイールバランスをとらなければ走行中に車体が振動したり、タイヤが偏磨耗するなどの様々な不具合の発生につながり、最悪の場合は事故にまで発展するケースもあります。このような事態にならない為にも、タイヤ交換時は専用機材を持つ経験豊富なプロにお任せするのが最善の選択です。

ホイールに装着したままで保管する場合、装着時の空気圧のだと変形や劣化の原因となるため、少し空気を抜くことが肝心です。また、装着時のように縦にしては変形の原因となるので絶対にさけなければなりません。きちんと重ねて横置きし、できればシーズン中２回程度天地を入れ替えするのが理想です。

その際、どのタイヤがどの位置（前後左右）についていたのかをチョークなどでチェックしておくことも重要です。

当店のタイヤ交換サービスでは、シーズンごとに一本500円（税別）で専用保管庫にてお預かりするサービスを行っています。